「はじめての構造主義」⑤

  構造主義は、西洋の伝統的な知のシステムを批判します。例えば、キリスト教圏では絶対的な存在である神の教えを示した聖書に対して、構造主義は聖書というテキストそのものよりも、「読む」という態度を上位に置きます。

 

  構造主義は、西洋の知のシステムのメインストリートとも言える、「真理」についても批判します。真理は、制度に過ぎず、時代や文化によって変化するものだと示したのです。

  その、真理批判のロジックは次のようなものでした。ヨーロッパでは、真理の探究に際して、「数学」や「科学」を活用していました。しかし、それらの手段は実は単なる制度でしかないということが示されてしまいます。さらに、未開人が持つ神話を研究すると、数学や科学と同じ構造が発見されてしまいました。であれば、西洋も未開人も、質は違えど、同レベルの構造の知のシステムを持っており、上下はないという結論になります。

  構造主義が示したこと結論は、自分たちの理性に対する自信を深めていた西洋人にとっては、受け止め難い事実でした。