「フランス現代思想史」①

■フランス現代思想史をどう理解するか

 

 フランス現代思想といっても、その範囲が明確に誰から誰までと決められているわけではない。そこで、筆者」は「フランス現代思想の精神」を定義することで、範囲を限定する。本書では、「西洋近代を自己批判的に解明する態度」をフランス現代思想の精神と定義する。この定義に立つと、フランス現代思想は、レヴィストロースから始まる。

 フランス現代思想は、思想の世界ではすでに遅れたものと認識されているとうだが、現代社会の基盤である西洋近代を問い直すことは、今を生きる我々にとって意義のあることである。

 

■レヴィストロースの構造主義とはなにか

Ⅰ 構造主義の成立 

 構造主義は、ソシュール言語学を起源とし、サルトル実存主義が凋落した1960年代から本格的に展開されたとみなされる。

 後に、痛烈なサルトル批判を展開することとなるレヴィストロースは、人類学を構築するために、言語学の方法を用いる。しかし、構造言語学だけでは、レヴィストロースの抱えていた民俗学の問題を解決できなかった。そこで彼は、数学における「構造主義」に援助をもとめた。

 レヴィストロースが考える「構造」とは次のようなものであった。「構造とは、要素と要素間の関係からなる全体であって、この関係は、一連の変換過程を通じて不変の特性を維持する。

 *言語学構造主義と深い関わりを持っているようだ

 *構造主義は、分野横断的な思考方法なのだろうか